624 RC回路の周波数特性理論
以下に$ RC直列回路の回路図を示す.(51$ \Omegaは$ Z整合抵抗)
https://gyazo.com/78bf5493ebbfbc040dc776734a7f6e82
図624.1$ RC回路の周波数特性測定回路
■交流理論より
正弦波を入力したときの回路の応答は,いわゆる交流理論により,複素数を含む方程式
として解析できる.
◎いま,実数部が$ cos \omega tである複素信号$ e^{j\omega t}が,回路素子$ R,C,Lをそれぞれ含む回路に印加されることを考えよう.
この回路において,複素振幅 $ \dot{V} と $ \dot{I}を持つ電圧信号$ \dot{V}e^{j\omega t} と電流信号 $ \dot{I}e^{j\omega t}の関係は回路素子によってそれぞれ次の通りになる.
●抵抗の場合: $ \dot{V}e^{j\omega t} = R\dot{I}e^{j\omega t}
●キャパシタンスの場合: $ \dot{I}e^{j\omega t} = C\frac{d}{dt}(\dot{V}e^{j\omega t}) = j\omega C\dot{V}e^{j\omega t}
●インダクタンスの場合: $ \dot{V}e^{j\omega t} = L\frac{d}{dt}(\dot{I}e^{j\omega t}) = j\omega L\dot{I}e^{j\omega t}
従って,電圧電流の振幅間の関係はそれぞれ,
$ \dot{V} = R\dot{I},\dot{V} = \frac{1}{j\omega C}\dot{I},\dot{V} = j\omega L\dot{I}……(624.1式)
となり,この比例係数が各素子のインピーダンス(impedance)と呼ばれる.
周波数特性は$ f=\omega / 2\piの関数として表される.
■回路への応用
図A.6の回路にこの交流理論を適用しよう.複素振幅に記号$ \dot{v_1}と\dot{v_2}を用いて,
$ \frac{\dot{v_2}}{\dot{v_1}} = \frac{1}{1 + j\omega CR}
$ = \frac{1}{i + j\frac{f}{f_c}}……(A.5)
だから,その大きさ(絶対値)と位相は,
$ \left|\frac{\dot{v_2}}{\dot{v_1}}\right| = \frac{1}{\sqrt{1 + \left(\frac{f}{f_c}\right)^2}},
$ \arg\left(\frac{\dot{v_2}}{\dot{v_1}}\right) = - \tan^{-1}\left(\frac{f}{f_c}\right)……(A.6)
ただし,$ f_c = \frac{1}{2\pi CR}
周波数軸を対数目盛りにしてこれをグラフに描くと,下図のような周波数特性を表す.
https://gyazo.com/b3f33e41f2f25cc29bb0b73b8298b05b
図623.2 RC回路の周波数応答特性
また,$ f≫f_cの領域では,
$ \log_{10}\left|\frac{\dot{v_2}}{\dot{v_1}}\right| \fallingdotseq -\log_{10}f + \log_{10}f_c
となり,周波数が10倍(1decade)になると振幅比が20dB減少する漸近線を表す.
以上.
2024/4/8